海外製っぽい機械式ブーストコントローラーについて
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↑のこれをGW中にポチりました。
使い道が無いわけではないですけど、中身とか部品としての加工精度とかが知りたくて実験対象的に購入。
買った時は900円しないくらいでした。書いている今は1400円ほどになったようですが。
(このブログは収益とか無いので、リンクを見てもそこから買っても私に得はありませんが、ツルシの、元の写真がなかったので買った商品のリンクを貼りました)
…などと言いながら、やっぱわかりにくいから商品ページから画像を拝借。このデジタル全盛の時代にデータサイズ13KB(笑)のjpegってのが、なんだか商品の安さの理由の1つでもある気もします。
で、だいたい形からしてエンドキャップがねじ込み、薄いナットで位置固定という外観から、まー中には球とバネが入ってんだろなーとは思っていましたが、やっぱりそうでした。
なお、本体は引き抜き材のアルミニウムで、アルマイト着色だと思われます。色の感じ的に。
1.ブーストコントローラーとして使うには
1-1.えんぴつ状の本体の、えんぴつで言えば研いで芯が出た部分にあるニップルを、タービン〜スロットル間のどこかに繋ぐ
1-2.えんぴつ状の横の部分に生えているニップルを、タービンのアクチュエーターに繋ぐ
1-3.えんぴつ状のお尻の部分にねじ込んである厚みがある六角部分を回して、目標のブースト圧にする
1-4.薄い六角部分を回し、えんぴつ状の本体と3.で調整した厚みがある六角部分を動かないように固定する
ということになります。
もう1つ使い方があるとすれば、小加工が前提となりますが、逆止弁としても使えます。
2.逆止弁として使うには
2-1.えんぴつ状の本体に空いた小さな穴を、使いたい圧力に耐えられる材料なり方法で塞ぐ。
2-2.お尻の厚みがある六角部分を目一杯ねじ込む(仮)
こうすると、えんぴつ状の横から空気を入れようとしても入らず、えんぴつ状の芯の部分から空気を入れようとすると通るようになります。
2-2で(仮)と書いたのは、逆止弁としては正方向に空気を通したい圧力によりお尻の六角部分をねじ込む度合いを変える必要があるからです。
とまあいろいろ書きましたが、早速実用化に向け分解・洗浄・改善などを行いましたので見てください。
分解洗浄を済ませたあと、
・シリコンスプレーをボールとバネにプシュ
・ネオジウム磁石を本体の一辺に接着
・ニップルはゆるゆるだったので取り外して再取付
・ニップルはゴムのOリングによる気密を保つタイプ
・上記ニップルはあまり良い感じの材料でなく、柔らかすぎて潰れてはみ出たため、試験的に本体側面のニップルにつけるOリングだけまともなヤツに交換。
・お尻のふた兼バネ押し調整のネジ部にシールテープを二周。固定ナットがシールテープを引き摺らないよう二周しか巻いてないけど、エア漏れがひどい場合は増やします。
いきなりですが、完成です。
こうしてみると、やっぱりお尻の部分のネジと本体の雌ネジの接合部分からエア漏れしそうだな…
ねじ込む量とシールテープの巻く厚さでそこはなんとかするか…
ニップルはネジロックしちゃってもよかったんですが、気密維持がOリングということで、もし使って漏れがひどい場合など交換の必要性が考えられるため、ロックはしませんでした。
どのくらいの圧力で使うかにもよりますが、外側からシリコンシーラーの硬めのタイプで盛ってしまうのもアリだと思います。
一応使える圧力は1〜30psi(≒2.1kg/㎠)ということで、とてもOリングがすっぽ抜けるような圧力ではないので大丈夫だとは思いますが…
バネでボールが押されているので、先端ニップルから流入させるにはそれなりに圧力が必要です。
が、測定器はないので、頑張っても0.1kg/㎠と言われる人間様の吐息で試したところ、お尻のキャップを少しねじ込むくらいなら息を吹き込むことができました。
実際のところそんな低い圧力で制御するターボエンジンはないので、とりあえずアクチュエーター式であればどんなターボエンジンにも使えそうです。
ここまで読まれて意味がわかる方ならもう説明の必要はないと思いますが、本体に空いた小さな穴。
そこから空気を逃します。
なのでこの製品は言ってしまえば…
チェックバルブを反対向きに使い、かつそのチェック(ボール)を押すバネのプリロードを可変式にして、そこを通過した空気の一部を小さな穴から逃がしつつ、逃がしきれなかった空気をその先に送る装置、ということになります。
絵で書いてみました。
まずフツーの最低構成の車はタービン(コンプレッサーハウジング出口付近)からアクチュエーターに直接ホースがつながっています。
これの接続場所は、コンプレッサーとアクチュエーターの間になります。
動作としては、アクセルを踏み車を走らせると
1.コンプレッサーの発生する圧力が上がる
2.それがアクチュエーターのダイアフラムに伝わる
3.ダイアフラムに繋がったロッドが押されて伸びる
4.ロッドはタービンのバイパスバルブに繋がっていて、ロッドが伸びるとバイパスバルブが開く
5. 4の作用により、タービンを通過する排気ガスがバイパス経路に流れ、タービンの回転数が上がらなくなる
6.結果的にタービンと直結されたコンプレッサーの回転数も上がらなくなる
7.アクチュエーターの設定圧力でブースト圧が安定する
これがノーマルの動作ですが、ここに例の赤い部品をつけると、
1.コンプレッサーの圧力がまずバネで押されたボールに阻害され、ボールが動くまで圧力が上がらないとアクチュエーターに伝わらない
→アクチュエーターの開き始めが遅くなるため、ブースト圧の立ち上がりが改善する
2.さらにコンプレッサの圧力が上がり、ボールを左に押しのけるとようやくアクチュエーターに圧力がかかりはじめる
3.しかしアクチュエーターに行くまでの経路に小さな穴が開いているため、その穴から抜けた空気以外がアクチュエーターに向かう
4.結果的にアクチュエーターにかかる圧力<コンプレッサー圧力となり、タービンの回転がノーマルより上がり、ブースト圧が上がる
という動作をする…はず…です。俺が思うに。
で、バネを縮める度合いをお尻についたキャップのねじ込み具合で調整できる為、ボールが圧力に負けて左に移動するポイント(コンプレッサーからの圧力)を変えることでアクチュエーターにかかる圧力をコントロールし、最終的に最大ブースト圧を上げることができる、というパーツです。
ぶっちゃけただ単にコンプレッサとアクチュエーター間のホースから圧力を抜く量を調整しても、ブースト圧は上げられます。
けどこの製品のポイントは、バネとボールです。
上のほうに書いたかもしれませんが、バネとボールによりアクチュエーターの作動開始ポイントをアナログ的に設定できます。
ノーマル配管では少しでもタービンが圧力を発生すると、そのままアクチュエーターに圧力が伝わり開き始めます。
するとブーストの立ち上がりが遅くなります。
この製品は、そこを機械的にいくらか改善できます。
電子式ブーストコントローラーのいわゆる制御開始ブースト・スタートブースト、みたいなものです。精度はそりゃ劣るでしょうが、アクチュエーター側から見れば似たような動きをする部品ということになります。
で、あとは逃げる空気の量は一定のため、お尻のフタをねじ込めばスタートブーストと最大ブーストも上がります。…まだ試してないけど、理屈ではそうなります。
個人的にはよく考えられた製品だと思うし、機械式ブーストコントローラーの中では最もハイテクだと思うんですが、レビューなどを見るとバネとボールの機構があるがために扱い方がわからずうまく使えてないのでは?
というレビューが目立ちます。
仕組みを理解して使えばきっと良い製品のはず…
そのうち実験してみます。お楽しみに。