マキタ バッテリー容量測定 第二弾
第一弾に引き続き、全く同じ測り方でデータをとりましたので公開していきます。
3.何年か前に買った、セル数を1列増やしたタイプの6.0Ah互換バッテリーです。
用途は主に草刈り機で、使用回数も20回も行ってないくらいですが、多分3年以上軽く経過しています。
中身はセル列個別電圧監視はなかった気はしますが、セルバランスは良好なバッテリーです。
bl1830と書いてありますが、6Ahのスペックのものです。
結果
・放電開始前電圧20.77V。ほぼ満タンと言えます。
・放電電流量5880mA。スペックに対して98%。
・放電電力量111Wh。スペック(計算値)に対して101.8%
・電圧戻り0.64V
データ的にはめちゃ優秀でした。デカくて重いけど、当時としては最大容量だった互換バッテリーです。
多分2000mahのセルを3並列しているのでしょうが、無理がない設計で劣化が少ないのかもしれません。
草刈り機は負荷はそこそこですが、だいたいかなり暑い直射日光の下で使われるので、使用環境としてはあまり良く無いはずですが、この結果にはびっくりです。
容量Whでカタログスペックを超えてくるのと、電流としてはカタログスペック以下である事を組み合わせれば、放電中の平均電圧の高さが高いという事になります。
これは当たりバッテリーでした。
4.最近話題の日本メーカー製。品切れ続出のエネライフ製BL1830B2モデルです。現時点では最新モデルにあたりますが、その中の廉価版的製品です。
状態はほぼ新品で、3回くらいしか充放電していません。
・放電開始前電圧20.36V。ちょっと満タンとは言えませんが、どの充電器でもこれ以上入らないので諦めました。
・放電電流量2,432mAh。スペック対比81%。残念なくらい低いですが、スタート電圧が低かったので…
・放電電力量46Wh。(計算値)スペック対比85.2%。こちらもガッカリですが、しばらく使ってからまた測ってみようと思います。
・放電後戻り電圧0.7V。まあ、ちょっと多いのは容量が少ないバッテリーだから仕方ないですね。
容量は期待外れでしたが、このバッテリーはさらにちょっと変わっていて、マキタ純正充電器で充電すると、他のバッテリーでは見られない電流で充電します。
マキタDC18SDは、自分の経験上、どのバッテリーを入れても2.5Aくらいで充電するか、電流0でたまに電圧を見るかしか制御しないのですが、
エネライフBL1830B2だと半分の電流になります。
これはマキタ製DC18RCも同じで、いつもの半分の電流になります。マキタDC18RFでは試していませんが、ちょっと変わったところです。
最初から最後までこの電流で充電していたので、高速充電には非対応なのかもしれません。
ちなみに、社外品のDC18RFだと最大電流の3.5Aでスタートし、徐々に電流を下げるという動きで、他のバッテリーと同じです。
最大12Aの出力を誇るマキタ純正DC18RF対策、なのかもしれませんね。
ということで今日はこれくらいにします。
第三弾をお待ちください👋
マキタ バッテリー容量測定 第一弾
だんだんと増えるマキタのバッテリー。
昔は互換バッテリー≒買うもんじゃない
という感じだったが、最近はサイクル数×容量減少ペースの遅さで純正以上の総使用容量があったり、当たり前にセル単位電圧測定(あくまで測定で下限と上限の電圧から逸脱するセル列を検出するためであり、バランサーは搭載されていないらしい)をしているものも増えてきた。
個人的にはせっかく基盤を載せるんだから、セル列電圧+出力電圧のどちらをもトリガーとして、電流ごとに過放電防止電圧を定めたり。
急速充電時はともかく、充電後や工具使用中などの空き時間で基盤上に積んだ(積んで)セルバランサーを動作させるなど、よりバッテリーが長持ちするように、バランスが崩れないように、せめて純正バッテリーにはそういった機能をつけて欲しい。
というか、ラジコンではバランサーを介さない充電なんて基本的にしないし、したとしたら満タンまでは充電しない。
セルアンバランスがあるものである。としてバッテリーを扱っているから、モーターコントローラー(ESC)の放電終止電圧も高めにセットする。
さらに、充電中はリポバッグという不燃材料でできたバッグに入れて充電する。
18650型リチウムイオン電池とリチウムポリマー電池という違いはあれど、ラジコンというホビーの世界ですらそこまで安全に留意してリチウムイオン二次電池を使っている。
なのに、だ。
仕事で、たくさんの人が、それも電池の知識なんてない人が使う電動工具のバッテリーの充電がバランサー無し、過放電防止は基本無し、あっても1.25V/セル(マキタ純正は最近付いているらしい)という、とても保護にすらならない設定値。
そのくせ変なチップで使われ方や放電電流、温度や充電回数は記録している。
なんのために記録を取るのか?保証やクレーム対応のため。わかるよ。
けどさ、そんなことよりきっちりバランス取りして18Vのバッテリーなら21Vまで充電して使えますとかさ、満充電の電圧を充電器側の周囲温度計で決めるとかさ、ファン入り口温度とバッテリー内部温度計の値を比較して充電の仕方を考えるとかさ…
低電流の時は12.5Vくらいでカットオフして過放電防止しますとかさ、放電電流の最大値はセルの性能と並列接続数で決まってるんだからそこの最大電流の時に何Vでカットオフとかさ、
やれることは山ほどあると思うわけよ。
ごくちょっとの追加費用とあとは知識があれば湧いてくるアイデアで、バッテリー生セルを生かすも殺すもいくらでもできるわけよ?
だってたった5,000円もしないようなラジコンの充電器に当たり前に温度計、セルバランサー、放電機能、内部抵抗測定機能とかついてんだよ?
万単位の充電器でできないとしたらそれは知識かやる気か両方が足らんのじゃない?
と、前置きがめっちゃ長くなったんですが、今日はマキタの主に18Vバッテリーの実際の容量を測ってみた的な内容です。
条件
・DC18SD(電流・電圧計をつけた純正改)かDC18RCまたは互換品のDC18RFで充電したバッテリーを
・途中に電力量Whを測れるものを挟み
・放電終止電圧を設定できるラジコン充電器で
・甘めの3.0V/セルの設定まで放電
・放電速度は機器の仕様によりmax6.5w/h程度
200W放電ができるタッチパネル式の充電器がフリーズしてしまい動かないので、ラジコン界では有名なB6でやることにしました。
では、結果です。
1.互換バッテリー14.4V 3Ah 何年も前から使ってるけど使用頻度はかなり低い。主な用途は枝バリカン。
放電容量は白飛びで見えませんが、開始電圧16Vで、定格43.2Whに対して34Whなら充分です。かなり古いですし、回数は少ないけど一回一回動きがノロくなるまで使われています。
ちなみに中身はセル毎電圧監視はなく、いかにも昔の互換バッテリーですが測るとバランスはかなり良いです。なので、16.8Vまで充電してもちゃんとバランスよく4.2Vづつ入ります。
次
2.互換バッテリー 18V 3Ah 用途は草刈り機か掃除機。汚れる作業や大電流でない機器に主に使用。古さは多分14.4Vと同じくらい
開始電圧20.7Vでかなり満タンに近いですが、定格容量54Whに対して49Wh取り出せたのは素晴らしいと思います。電流としては2568mAhと微妙ですが、電力量で見ればかなり良いです。
こいつもセル列毎監視はしてないと思いましたが、非常にセルバランスが良いバッテリーです。
DC18SDでゆっくり充電しているのが良いのかもしれせんね。
こんな感じで第一弾は終わりますが、昔の互換バッテリーも使い方や当たり外れでちゃんと使えるのもある、という感じはします。
もちろん安全性は純正に敵いませんが、何年か使ってこれくらいの性能が確保できていたら上出来ではないでしょうか。
B6をフル稼働させ、他のバッテリーも測定していますので、次の記事をお待ちください。
ではまた👋
ルンバのバッテリーチェック3 新品互換バッテリー編
なんだかんだで今、ルンバが3台ありまして。
どれもバッテリー劣化により「きちんと」は動かないので、互換バッテリーに交換することにしました。
ただ、互換バッテリーにもピンキリでして。
書いてある容量はどれも素晴らしいのですが、実際の性能というか容量は怪しいものがあります。
というか…基本怪しいんですよ。自分が思うに。
そこで、今回はきちんと測ってから使うことにしました。
3つとも互換品で、わざと違う種類のものを買いました。
では、まず1つ目。
AmazonではVesiriというブランドで売られている、スペックは4050mAhのバッテリーです。
なぜか今は買えずに、似たようなスペックのものがMorpilotというブランドで売られています。
典型的な悪意レビュー対策かもしれません。
結果はこちら。
バッテリーにはVemicoと書いてあります。
5回の充放電を経て、最大容量はいいとこ1800mAhちょっと。
CHGという表記の部分が充電容量(バッテリーに入った容量)ですが、それを見ても2,200mAhもありません。
これ、実際にはエネループ単3形の1900mAhのものでもこれくらいは入ります。
要するにサイズは単2型で容量は単3形という低い容量
のニッケル水素蓄電池ということになります。
ぶっちゃけこんだけ低容量のニッケル水素サブCセルがある事に驚きだし、そもそもスペックに書いてある値はなんなの!?!?って感じしかしません。
・1回目を除く、放電容量の平均値は1813mAh。
・1回目を除く、充電容量の平均値は2192mAh。
・スペックに対する放電容量は45%…
・放電/充電の有効電流は83%。
3000円以上する、安いとはいえない互換バッテリーの中ではポンコツもいいとこです。
全くおすすめできません。今のところは。
はい次、2番目。
ブランド名はPowerextra。
購入金額3599円。スペックは期待大の5000mAhですが…
うー、見るからに残念。
※5回充放電して測りましたが、停電によりデータが飛んだようなのでチャージカウントが連続していません。そのため他のバッテリーより数回、多い充放電回数となっています
・1回目を除く放電容量平均2843mAh
・1回目を除く充電容量平均3456mAh
・放電/充電の有効電流は82%
・カタログ値に対する放電容量は57%
2800mAhという数字だけ見ればまあまあ…とは思いますし、最初の1800mAhより遥かにマシですが、にしてもカタログ値との乖離がひどすぎる。
値段も3600円に迫るので、純正より遥かに安いとはいえ納得できる性能ではないです、個人的には。
はい、最後!3番目!
ブランド名はPOWERAXIS。値段は2680円。
カタログスペックは4500mAh。
最安値ですので正直全く期待していませんでしたが…結果は
いやもうね、見るからに素晴らしいで賞。
他の2つに比べてまず数字の先頭が3ばっかり!
・1回目を除く放電容量平均値は3170mAh
・1回目を除く充電容量平均値は3689mAh
・放電/充電の有効電流は86%
・カタログスペックに対する放電容量は70%
これもカタログスペック対比で7割かよ…って思うかもしれませんが、今回試した三種類では最も高容量でありカタログスペックにも近いし、しかも1番安い2680円ですからね。
今回のテストでは、バッテリーとしての持ちは分かりませんが、今の段階では3番目にテストしたバッテリーがおすすめです。
サイドブラシがついてくるバッテリーとかいろいろ値段だけでは比較できない感じになりつつある互換バッテリーの世界ですが、とはいえバッテリーの性能が大事だと思います。
かなり時間はかかりましたが、いいデータが得られました。
みなさんもよろしければ今回のテスト結果を、買うときの参考になさってください。
本当のことを言うと、エネループ12本束ねてルンバの電池を作ったほうがいい気もするんだけどね…
だってエネループって1900mAhで2100回使えるって書いてある。
ぶっちゃけそれに勝てる互換バッテリーって無さそう。値段も12本買っても5000円しないし、電池ケース式にして交換できるパッケージにすれば最強な気がするんだけどなぁ…
ルンバのバッテリーチェック2 中古勢編
ルンバがすぐ止まるようになったから、互換バッテリー買ってきて入れ替えだな!ってのはみなさんよくやると思います。
ただ…それまで使っていたバッテリーが、どれだけのレベルで劣化しているのか?
どれくらい容量があるとルンバが何分動き回れるのか?
って気になりませんか?
ということで、今回は古いルンバから取り外したバッテリーのコンディションチェックをしてみた結果をまとめます。
チェック方法
・基本的に放電/充電を5サイクル行う。
・放電電流は機器の仕様により0.4A〜0.5A程度(5Wが最大のため)
・放電終止電圧は12V(バッテリーがニッケル水素12セルのため、1セルあたり1Vと優しめの設定)
・満充電の検出はデルタピーク式
・充電電流は内部抵抗により自動制御で、最大3.5A程度(機器の充電電力スペックが50Wのため)
それでは開始。
まずはルンバ780から取り出した純正バッテリー。
充電しても全く動かない、というハナシでしたが…
これを見る限り、たしかに最初の放電が0なので、自己放電がやたらに多いとは思いますが、例えば毎日使うならそれなりの時間、働ける気もします。
1400mAh程度というのは少ないですが、全く動かない事はなさそう。
かつ回数を重ねるごとに取り出せる電流入る電流ともに増えているので、これは頑張ればまだ使えるレベルだと思います。
はい、次。
この2つは、一枚目が中古ルンバ620に入っていたもの。
2枚目が自宅ルンバ620に使っていたもの。
まーひどいな…って思う。何たって700mAhとか単4サイズのニッケル水素電池かよって感じだもんwww
真面目な話、どちらも内部抵抗値が高く、充電電流が上げられない(上げれば発熱と電圧ばっか上がってしまう)コンディション。自己放電もひどく、満タンにしても三日も動かさないと完全放電ってレベル。
ただこれでもうちのルンバは短い時間ながらも15分くらいは動いていた気はするので、ルンバは案外電気を食わないのかもしれない。
純正バッテリーの容量が非公開なのかはっきりしないけど、なんだかんだで純正バッテリーは長持ちなんだなって思いますし、
例えば安いとはいえ三千円程度はする互換バッテリーを買うよりなら、自分でエネループを12本束ねたパックに廃棄するバッテリーから取り出した温度センサーでも繋いだ自作バッテリーパックを作ったほうが安くて長持ちするかも…とか考えちゃいますね。
いずれ劣化のスピードの早さと、劣化した後の容量の目減りの凄まじさがわかりました。
次回は互換の新品バッテリーについて書こうと思います。それではまた。
ルンバのバッテリーのコンディションチェック1
ルンバはウチに昔からあった。
バッテリーとかブラシは変えたりしてた。
けど本体は何年も故障してないからすごく耐久性はあると思う。
で、最近変えたバッテリーがまたイマイチになってきた。
だからまたバッテリーを買ってきた。
ついでに中古のルンバも2台買ってきた。
安かったから。
変えるバッテリーも2つ買ってきた。
もちろん純正ではなく互換品。
なんだかそのまま使うのもつまんないから、分解清掃することにしたんだけど。
その前に、互換新品も互換使い古しも含めて全てのバッテリーをテストすることにした。
その第一歩が、中古のルンバに入ってた純正バッテリー。
おそらく今ウチにある5つのバッテリー中、1番古くて1番性能低下しているであろうモノだ。
それをとりあえず…
・充放電5回
・充電電流は自動(内部抵抗などにより充電器に丸投げ)
・放電終始電圧は12V(12セルのニッケル水素だから、1セルあたり1Vと甘めの設定)
とした。
充電器が高性能なやつが故障していたため、放電も充電もノロいしグラフも表示できないB6なんだけど、とりあえず充放電することはできるから地道にやる。
ちなみにサブCセルと充電器の接続は小さなネオジウム磁石を介してわに口クリップで繋いだ。
これは我ながら賢いと思う。
激安ブレーキパッドを眺める
ブレーキローターをちょっといいやつに変えるにあたり、ブレーキパッドはどうしようか?ずっと考えてました。
「んなもんガツンと効くやつにしたらいいんじゃ!」
はい、ワタシもそう思いましたが…が、車が車、高度な姿勢制御がなされていると思われる車。もちろんブレーキを摘む事でやっているでしょう。
となると、あまりに純正からかけ離れた特性のブレーキパッドはやめておこう。
そう考えてノーマルパッドにするつもりでした。
でもなんかいいローターにノーマルパッドももったいないから、とにかくローター攻撃性が低い、高額なパッドも考えました。
しかしなんだかしっくりこない。
高額なパッドは1台分で純正より1万円以上高い。
安価なものは純正より1万円以上安い。ただし怪しいパッドばかり。レビューもなかなか酷い(笑)。
純正互換国産品だと純正より8,000円くらい安い。信頼性も高いがなんだかつまらない。
でも国産が欲しい…
ということで夜通し探していたら、見つけました。試してみたいパッドを…!
それがこちら
うーむ…いかにも安っぽくはない箱ではあるけど、、、調べまくったら実は国産じゃないという情報もあり、なんだか不安になってきた。
でも中身を見てみる。
国産だ、とは書いてないけど日本メーカーの名前がついた説明書が入っている。
このメーカー、調べたところ、年商20億円ほどのブレーキメーカー、らしい…多分。そこそこデカい。ちゃんとHPもある。
リア用パッドのシムは貼り付けられている。パッドウェアインジケーター?もついている。
フロント用パッドはなんもついてない。多分シムはノーマルを使うか、無い…?のか知らんけどまあ減ったら見ればわかるから問題ナシ。
ベースのプレートも薄くないし、精度に難ありな気はしない見た目…だけどフロントの角、めっちゃ削られてる。全面がローターに当たるまで減らすにはかなり時間かかりそう。
わざとなのか、なんか別の理由があるのか…?
ね、フロントのパッド、めっちゃ角落とされてるよね。左右で色が違うのも不思議な感じ。
リアはちょこっとしか角が落とされてない。これくらいなら違和感ないんだけどね。
パッドの材質は
・NAO材(ノン・アスベスト・オーガニック材)
と
・樹脂系をベースとした摩擦材
と書いてあります。けどメタルを使ってない、とは書いてない。
見た感じ、銅色のものが混じってキラキラしてます。
気持ちリアのパッドに銅色が多いように見えます。
触ると指が黒くなります。さて、このパッドはマトモなのか…
高額なブレーキローターに最初に当たるのがこの激安パッド。これでいいのか!?いやこれでいい!!
と、自分に言い聞かせながら、ローターが出来上がってくるのを待ちましょう…
ちなみにこのパッド、送料込み、前後8枚で5,000円以下でした。
ローターは4枚で7万円超の特注品です。
うーん…自分でやってる事ながら不釣り合い…(笑)
海外製っぽい機械式ブーストコントローラーについて
https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/B0827MJ7W4/ref=ox_sc_act_image_1?smid=A2DJBZH8RGO36J&psc=1
↑のこれをGW中にポチりました。
使い道が無いわけではないですけど、中身とか部品としての加工精度とかが知りたくて実験対象的に購入。
買った時は900円しないくらいでした。書いている今は1400円ほどになったようですが。
(このブログは収益とか無いので、リンクを見てもそこから買っても私に得はありませんが、ツルシの、元の写真がなかったので買った商品のリンクを貼りました)
…などと言いながら、やっぱわかりにくいから商品ページから画像を拝借。このデジタル全盛の時代にデータサイズ13KB(笑)のjpegってのが、なんだか商品の安さの理由の1つでもある気もします。
で、だいたい形からしてエンドキャップがねじ込み、薄いナットで位置固定という外観から、まー中には球とバネが入ってんだろなーとは思っていましたが、やっぱりそうでした。
なお、本体は引き抜き材のアルミニウムで、アルマイト着色だと思われます。色の感じ的に。
1.ブーストコントローラーとして使うには
1-1.えんぴつ状の本体の、えんぴつで言えば研いで芯が出た部分にあるニップルを、タービン〜スロットル間のどこかに繋ぐ
1-2.えんぴつ状の横の部分に生えているニップルを、タービンのアクチュエーターに繋ぐ
1-3.えんぴつ状のお尻の部分にねじ込んである厚みがある六角部分を回して、目標のブースト圧にする
1-4.薄い六角部分を回し、えんぴつ状の本体と3.で調整した厚みがある六角部分を動かないように固定する
ということになります。
もう1つ使い方があるとすれば、小加工が前提となりますが、逆止弁としても使えます。
2.逆止弁として使うには
2-1.えんぴつ状の本体に空いた小さな穴を、使いたい圧力に耐えられる材料なり方法で塞ぐ。
2-2.お尻の厚みがある六角部分を目一杯ねじ込む(仮)
こうすると、えんぴつ状の横から空気を入れようとしても入らず、えんぴつ状の芯の部分から空気を入れようとすると通るようになります。
2-2で(仮)と書いたのは、逆止弁としては正方向に空気を通したい圧力によりお尻の六角部分をねじ込む度合いを変える必要があるからです。
とまあいろいろ書きましたが、早速実用化に向け分解・洗浄・改善などを行いましたので見てください。
分解洗浄を済ませたあと、
・シリコンスプレーをボールとバネにプシュ
・ネオジウム磁石を本体の一辺に接着
・ニップルはゆるゆるだったので取り外して再取付
・ニップルはゴムのOリングによる気密を保つタイプ
・上記ニップルはあまり良い感じの材料でなく、柔らかすぎて潰れてはみ出たため、試験的に本体側面のニップルにつけるOリングだけまともなヤツに交換。
・お尻のふた兼バネ押し調整のネジ部にシールテープを二周。固定ナットがシールテープを引き摺らないよう二周しか巻いてないけど、エア漏れがひどい場合は増やします。
いきなりですが、完成です。
こうしてみると、やっぱりお尻の部分のネジと本体の雌ネジの接合部分からエア漏れしそうだな…
ねじ込む量とシールテープの巻く厚さでそこはなんとかするか…
ニップルはネジロックしちゃってもよかったんですが、気密維持がOリングということで、もし使って漏れがひどい場合など交換の必要性が考えられるため、ロックはしませんでした。
どのくらいの圧力で使うかにもよりますが、外側からシリコンシーラーの硬めのタイプで盛ってしまうのもアリだと思います。
一応使える圧力は1〜30psi(≒2.1kg/㎠)ということで、とてもOリングがすっぽ抜けるような圧力ではないので大丈夫だとは思いますが…
バネでボールが押されているので、先端ニップルから流入させるにはそれなりに圧力が必要です。
が、測定器はないので、頑張っても0.1kg/㎠と言われる人間様の吐息で試したところ、お尻のキャップを少しねじ込むくらいなら息を吹き込むことができました。
実際のところそんな低い圧力で制御するターボエンジンはないので、とりあえずアクチュエーター式であればどんなターボエンジンにも使えそうです。
ここまで読まれて意味がわかる方ならもう説明の必要はないと思いますが、本体に空いた小さな穴。
そこから空気を逃します。
なのでこの製品は言ってしまえば…
チェックバルブを反対向きに使い、かつそのチェック(ボール)を押すバネのプリロードを可変式にして、そこを通過した空気の一部を小さな穴から逃がしつつ、逃がしきれなかった空気をその先に送る装置、ということになります。
絵で書いてみました。
まずフツーの最低構成の車はタービン(コンプレッサーハウジング出口付近)からアクチュエーターに直接ホースがつながっています。
これの接続場所は、コンプレッサーとアクチュエーターの間になります。
動作としては、アクセルを踏み車を走らせると
1.コンプレッサーの発生する圧力が上がる
2.それがアクチュエーターのダイアフラムに伝わる
3.ダイアフラムに繋がったロッドが押されて伸びる
4.ロッドはタービンのバイパスバルブに繋がっていて、ロッドが伸びるとバイパスバルブが開く
5. 4の作用により、タービンを通過する排気ガスがバイパス経路に流れ、タービンの回転数が上がらなくなる
6.結果的にタービンと直結されたコンプレッサーの回転数も上がらなくなる
7.アクチュエーターの設定圧力でブースト圧が安定する
これがノーマルの動作ですが、ここに例の赤い部品をつけると、
1.コンプレッサーの圧力がまずバネで押されたボールに阻害され、ボールが動くまで圧力が上がらないとアクチュエーターに伝わらない
→アクチュエーターの開き始めが遅くなるため、ブースト圧の立ち上がりが改善する
2.さらにコンプレッサの圧力が上がり、ボールを左に押しのけるとようやくアクチュエーターに圧力がかかりはじめる
3.しかしアクチュエーターに行くまでの経路に小さな穴が開いているため、その穴から抜けた空気以外がアクチュエーターに向かう
4.結果的にアクチュエーターにかかる圧力<コンプレッサー圧力となり、タービンの回転がノーマルより上がり、ブースト圧が上がる
という動作をする…はず…です。俺が思うに。
で、バネを縮める度合いをお尻についたキャップのねじ込み具合で調整できる為、ボールが圧力に負けて左に移動するポイント(コンプレッサーからの圧力)を変えることでアクチュエーターにかかる圧力をコントロールし、最終的に最大ブースト圧を上げることができる、というパーツです。
ぶっちゃけただ単にコンプレッサとアクチュエーター間のホースから圧力を抜く量を調整しても、ブースト圧は上げられます。
けどこの製品のポイントは、バネとボールです。
上のほうに書いたかもしれませんが、バネとボールによりアクチュエーターの作動開始ポイントをアナログ的に設定できます。
ノーマル配管では少しでもタービンが圧力を発生すると、そのままアクチュエーターに圧力が伝わり開き始めます。
するとブーストの立ち上がりが遅くなります。
この製品は、そこを機械的にいくらか改善できます。
電子式ブーストコントローラーのいわゆる制御開始ブースト・スタートブースト、みたいなものです。精度はそりゃ劣るでしょうが、アクチュエーター側から見れば似たような動きをする部品ということになります。
で、あとは逃げる空気の量は一定のため、お尻のフタをねじ込めばスタートブーストと最大ブーストも上がります。…まだ試してないけど、理屈ではそうなります。
個人的にはよく考えられた製品だと思うし、機械式ブーストコントローラーの中では最もハイテクだと思うんですが、レビューなどを見るとバネとボールの機構があるがために扱い方がわからずうまく使えてないのでは?
というレビューが目立ちます。
仕組みを理解して使えばきっと良い製品のはず…
そのうち実験してみます。お楽しみに。